天の川銀河の星めぐり

天の川銀河の天体を、天体望遠鏡で見た感じにコリメート撮影で星めぐり中です。

ベテルギウスの減光(オリオン座)

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ベテルギウス 20cm反射(25倍) 2021.12. 9 LX7コリメートF2x15秒+LPR-N

※今年最後のブログとなりました。今年5月同じオリオン座の「馬頭星雲」から

 スタートし27回目のブログとなりました。

ところで2年前(2019)の今頃ベテルギウスがどんどん暗くなり「超新星爆発が起きるのでは!」と話題になりました。

今回その「ベテルギウスの減光」を振り返りたいと思います。

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オリオン座の星とその明るさ(等級) 撮影年月不明 Nikon 50mm エクタクローム

※オリオンの右肩に輝く1等星(写真矢印)ベテルギウスは赤色超巨星で「超新星爆発」が近いと言われています。地球からの距離は約500光年でオリオン大星雲(約1300光年)よりかなり近い。質量は太陽の約20倍で直径は約1000倍ある。

ただ外縁部は地球の大気くらいでスカスカです。

明るさは0.4等~1.3等と変光する半規則型変光星で、その周期は約5.7年」です。

0.4等はオリオン座の近くのこいぬ座のα星プロキオンと同じで、1.3等はオリオン座の左肩の星ベラトリクスより少し明るい感じです。

2019年後半から2020年初めにかけて下の図のように記録的な減光が起きました。

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過去15年間の明るさの変化(下図が2020年前後の変化)

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提供:L.Moinar/AAVSO,UCSD/SMEI,NASA/STEREO/HI

※一番暗くなったのは2020年2月で明るさは1.7等でした。

もし明るさが元に戻らず、このまま暗いのが半年ほど続き、その後星の成分が3~5日で鉄に変化すると超新星爆発を起こします。

しかし今回は2ヶ月程で元の明るさにもどりました。

私が肉眼で観た感じでは2020年1月7日は1.5等でした。

ちなみに2021年12月25日はプロキオンより少し暗く0.7等くらいでした。

 

しかし80年ほど前にも同じくらいの減光が起きていました。

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星百科大辞典 R.バーナム P.483より

※1940年ころ1.6等に減光し、その後0.2等に戻った。過去にも同じ程度の

減光があったのです。

 

では減光の原因は、今は観測機器が進歩し下記2点が考えられています。

ベテルギウスを取り巻くダストが地球の方向に来た。

・星の表面の50~70%を占める巨大黒点が現れた。

などです。今回の減光は、超新星爆発の前兆ではないかと言われたが、関連はよくわかっていない。まだ超新星爆発まで10万年以上の時間が残っているとも言われている。

では、ベテルギウス超新星爆発を起こしたらどのように見えるのでしょうか。

 ・爆発後2時間で金星の明るさになり昼間でも見える。

 ・3時間後には半月と同じー10等級になり、それが130日続く。

 (天文ガイド2013年3月号―池内 了「宇宙からの視点」より)

また、爆発は事前にわかるのでしょうか?

・爆発の33時間前に前兆ニュートリノが地球に降り注ぎ、カミオカンデが捉えれれば

 世界中に知らされるでしょう。

天文ガイド2013年3月号―池内 了「宇宙からの視点」より)

*近いうちにはベテルギウス超新星爆発は起きそうにありませんが、

 このブログを書いているうちに最大の宇宙望遠鏡「ジェームス・ウエッブ宇宙望遠鏡」の打ち上げが成功しました。今回は赤外線望遠鏡を積んでいるとのこと。また新たなベテルギウスの情報がもたらされるでしょう。