天の川銀河の星めぐり

天の川銀河の天体を、天体望遠鏡で見た感じにコリメート撮影で星めぐり中です。

「宇宙とは何か?」 第2回 ガリレオ・ガリレイ

宇宙とはどのような世界なのか?と考え続けたコペルニクスが「地動説」を

唱えた著書「天体回転論」を出版されたのは彼の死後であった。

それから約150年で宇宙の認識が大きく変わりました。

コペルニクスからニュートンの年譜

次の時代を担ったのはガリレオケプラーでした。

二人はほとんど同じ時代を生き、「天動説」がまだ主流の時代に「地動説」を推し進めた勇敢な人達でした。互いに手紙を通し交流し研究の意見を交換しあっていました。

 

ガリレオ・ガリレイ

ガリレオは独自の宇宙モデルは作りませんでしたが、下記の様な研究を行い、

「地動説」の証拠を示しその発展に貢献しました。

ガリレオを知るための2冊の本

ガリレオ式望遠鏡の発明

 それまでは倍率2~3倍の地上をみる望遠鏡しかありませんでしたが、ガリレオは独自で天体観測が出来る20倍のガリレオ式望遠鏡を作り「地動説」を裏付けるいくつかの天体現象を観測しました。

・金星の満ち欠けの観測

ジョン・W・モファット「重力の再発見」早川書房より

上の図の右上の四角の中はガリレオがスケッチした金星の満ち欠けです。

左側のプトレマイオス体系(天動説)ではこの様な満ち欠けはみられません。

このほかにも「地動説」を裏付ける観測は

・月面の凹凸(山や平原)の発見。

木星の4つの衛星の公転の発見。

・太陽表面の黒点の自転による移動の発見。

などがあり、理論家のケプラーと違い観測で「地動説」を支持しました。

 

ガリレオの物理学の貢献=地上の物体の運動

慣性の法則ニュートン力学へつながるもの)

・落体について(ピサの斜塔での実験の逸話で有名)

・放物体の運動

など、詳しくは書きませんが物理学の重要な研究が多く、宇宙と地上が同じ原理であるとすでに思っていたとすればガリレオの宇宙観があったと思えます。

 

しかし、この時点でもまだ惑星は真円の軌道で回っていると考えられていました。

これを覆したのが次にお話する予定のケプラーです。

 

参考文献

1)「星界の報告」ガリレオ・ガリレイ著  岩波文庫

2)「ガリレオ伝」L・フェルミ、G・ベルナルディ著 ブルーバックス

3)「物理学入門」力と運動 武谷三男 ちくま学芸文庫

4)物理学の野望「万物の理論」を探し求めて 冨島佑充 光文社新書

「宇宙とは何か?」 第1回 古代の宇宙~コペルニクス

宇宙とはどのような世界なのか?

古代人の考えた宇宙からコペルニクスガリレオケプラーニュートンそしてアインシュタインへと続く「宇宙とは何か?」を求め続けた人たちが、何を考えてきたかを学んでみようと、壮大なテーマを2024年の新年に思いつきました。

一般書の言葉や挿絵では、理解したように思えても何か実感がわきませんでした。

頑張って数式と図を使い素人でも実感がもてるような理解ができる内容にしたいとおもいます。

このブログのカテゴリーに「宇宙とは何か?」を新たに加え、少しづつ先人たちの考えた事を書き進もうと思います。お付き合い宜しくお願いします。

 

・古代の人が考えた宇宙

(図1-1)古代バビロニア(紀元前1900年ごろ)で考えられていた宇宙世界。(出典不明)

※ 古代人が考えた宇宙は、人が住む世界に宇宙がお椀のようにかぶさっていた。

 

アリストテレス(紀元前384~322年)が考えた宇宙

(図1-2) エウドクソス(前約408~355)の同心天球説 参考文献(1)より
  • アリストテレスの時代には、すでに太陽と月と五惑星(水星、金星、火星、木星土星)が恒星と異なる動きをすることがわかっていました。

農耕の為の季節の変化を知ろうとして星を観察することから、次第に宇宙を知ろうとする時代へと変わっていきました。

図1-2の同心天球説はその時代を代表する図で、多くの球面を重ね合わせて天体の運動を説明するものです。中心に地球があります。星々は完全な円球に貼り付き地球の周りをまわっている。「天動説」の始まりです。

ただし次のような欠点があり、しだいに宇宙観も変わっていきます。

・惑星の明るさの変化が説明できない。

・惑星の逆行運動が説明できない。等

逆行運動とは

 下図のように惑星の動きがいつもと逆方向になること。

(図1.3) 外惑星の逆行運動     参考文献(3)に加筆

※そしてしばらく時代が進み

プトレマイオス(西暦約83~168年)が考えた宇宙。

(図1-4) プトレマイオスの宇宙    参考文献(1)より

※有名な「天動説」の図。

 中心に地球が有り、周りを月、太陽、惑星が回っている。惑星の逆行運動や明るさの変化は「周転円」を使って説明できる。

更に月の運動や季節の四季の長さの違いを説明するため、上図の従円の中心が地球からずれている点「エカント」を取り入れた。

プトレマイオスはこの考えを「アルマゲスト」という本にまとめた。これはかなりの精度で天体の動きを説明できるため以後1500年にわたり天文学で絶対的なものになった。また宗教的にも成功をおさめた。

しかし

・水星と金星の動きの説明に無理がある。

・惑星の明るさの変化が現実と違う。

・エレカントという考えが複雑である。

等からコペルニクスの「地動説」へとつながります。

 

コペルニクス(1473~1543)が考えた宇宙

(図1-5) コペルニクスの宇宙      参考文献(1)より

※かなり今の太陽系に近いイメージになってきました。

プトレマイオスの天動説では説明が出来なかった

・外惑星の火星、木星土星は太陽の反対側の時最も明るくなる(衝の   位置という)

・反対に太陽と同じ側の時最も暗くなる(合の位置という)

・逆行の幅は火星が最も大きく、更に逆行の周期が太陽の一年の周期と一致する。

など実際の動きを矛盾なく説明できるようになりました。

コペルニクスは「これらは全て地球の運動から起こり、恒星にそういう現象が起きないのは恒星は計り知れないほど遠くにあるから。」と惑星と恒星でキョリが違う宇宙を知った。

このように、「地動説」が出来るまで長い時間がかかりましたが、コペルニクスは惑星の軌道は全て完全な円軌道と考えていました。

 

ここから話は、迫害を受けながらも「地動説」を支持したガリレオと、惑星の「楕円軌道」を発見したケプラーへと続きます。

 

参考文献

1)「物理学入門」力と運動 武谷三男 ちくま学芸文庫

2)物理学の野望「万物の理論」を探し求めて 冨島佑充 光文社新書

3)星の位置と運動 地学教育講座11 大金要治郎 東海大学出版

美しい2つの散開星団-M52とNGC7789 (カシオペア座)

カシオペア座の2つの星団 2019.10.26 Canon10mmx15秒露出 奥三河総合センターにて

※先月もカシオペヤ座の散開星団NGC457を紹介しましたが、カシオペア座からふたご座に流れる「天の川」にはたくさんの美しい散開星団が見られます。

散開星団は天の川の中でまとまって星が生まれたところで、元は赤い散光星雲の中で生まれました。ガスが消えた後に誕生した星の集団が散開星団です。

倍率25倍で見たM52 2023.11.14 20cm反射+LX7コリメート撮影 10秒露出

※まずはじめはM52星団です。地球からの距離は約3800光年にある星団です。

 星の数は約200個で若い星からできています。明るい星が一つあります。

倍率83倍で見たM52星団 2023.11.13 20cm反射+LX7コリメート撮影10秒露出

※次にみるのはNGC7789星団です。

倍率25倍で見たNGC7789 2023.11.14 20cm反射+LX7コリメート撮影 10秒露出

※ぼんやりと大きく密集しているのが特徴で、満月の約半分の大きさです。

 地球からの距離は約7600光年で、約1000個の星から出来ています。

倍率85倍で見たNGC7789  2023.11.14 20cm反射+LX7コリメート撮影 10秒露出

※この星団はやや倍率を上げた方が美しく見られます。85倍で視野いっぱいに広がった姿がみられます。写真では実際の美しさがなかなか伝わりません。

ガーネットスター(ケフェウス座)

ガーネットスターと秋の星座 2019.10.26 Canon10mmx15秒露出 奥三河総合センターにて

※画面上隅の矢印の星が「ガーネットスター」と呼ばれる有名な星です。

正式には「ケフェウス座 ミユー星」です。

3.4等~5.1等の変光星ですが、「ざくろ石」のような色から、かつてイギリスの天文学者ハーシェルに名付けられました。

 肉眼でも暗い空ならその色がわかりますが、双眼鏡か小型望遠鏡で美しく見られます。

上の写真でも拡大するとオレンジ色がわかります。(虫メガネで見てください)

倍率83倍で見たガーネットスター 2023.11.13 20cm反射+LX7コリメート撮影 5秒露出

※この星はオリオン座の1等星「ベテルギウス」と同じ赤色超巨星で、地球からの距離は3000光年、直径は太陽の約1500倍もある巨大な星ですが、表面温度は2000°以下のため、このようなオレンジ色でかがやいています。

 これ以外の赤い星は過去のブログで「オリオン座 ベテルギウス」と「こと座 T星」もあわせてみてください。

NGC457(ET星団) カシオペヤ座

秋の星座とNGC457 2019.10.26Canon10mm15秒露出奥三河総合センターにて

※カシオペヤ座δ星の近くにNGC457という面白い散開星団があります。

 その形があの大ヒット映画「ET」を彷彿とさせることから有名です。

そのため別名「ET星団」と呼ばれています。

NGC457(25倍)2023.10.16 20cm反射+LX7コリメート撮影 5秒露出

※地球からの距離は約7900光年と遠い所にある星団です。

 カシオペヤ座のW形状を作る5個の星の距離は約45光年~800光年なのでカシオペヤ座とはずいぶん離れた所にあります。

5等星と7等星の二つの星がちょうどETの目の位置になります。

ET(20年程前USJで購入。電池を入れると動きながらしゃべります。) 左目がちょうどδ星の近くの5等星

NGC457(83倍) 2023.10.16 20cm反射+LX7コリメート撮影 5秒露出

※ETに見えてきたでしょうか?

冥王星(太陽系外縁天体)

今年の冥王星の位置    NHK/BS コズミック・フロント番組画面を写したものに加筆

※今年の天文ガイド・7月号に「7月から9月は冥王星が衝(太陽のま反対の位置)でみごろ。」と書かれていて、明るさも15等星と私のシステムでも撮影出来そうなのでチャレンジしました。

悪天候や何度かの試みの末、10月2日に上の写真の位置で撮影できました。

位置は「やぎ座」と「いて座」の中間あたりです。今回の内容とは関係ありませんが、上の写真は初めて「やぎ」の姿を連想させるすばらし画像なので拝借しました。昔の人はこのような夜空で動物を連想したのかと思います。私は「やぎ」の向きが通常と逆向きにみえるのですが・・・・

冥王星(矢印の先の淡い星) 2023.10.02 20cm反射F5直焦点+CMOSカメラ 70秒露出

同じ位置をSky-Map(インターネット星図)で表示。四角の位置が冥王星の位置

※数日写した写真からは冥王星の移動の確認が取れなかったため、18等星まで写っているSky-Mapと比べて冥王星を探し出しました。冥王星の明るさは15等くらいですが、それくらいの明るさの恒星に比べかなり暗く写っています。(写真の15.1等星や15.3等星)

冥王星の表面の色が黄色や茶色でCCDに写りにくいのか、それとも視直径が0.15秒で私のCCDの1ピクセルの1/12しかないためか、それ以外の原因か不明です。

探査機ニュー・ホライズンがとらえた冥王星画像    2015年/NASA 

冥王星の特徴

・直径は地球の1/5で月より小さい。

・公転軌道の形は他の惑星と比べ傾きが大きく細長い形状。

・公転周期は約248年。

・表面温度はー320°でメタンとチッソの氷で覆われている。

現在位置は海王星軌道より内側で天王星軌道あたりで太陽に最も近い位置にある

準惑星に格下げされた理由

 太陽系の第9惑星として長く親しまれてきた冥王星は、2006年IAU(国際天文学連合)の総会で「第9惑星」から「準惑星」に格下げされました。

理由は

・当初は火星より大きい天体と思われていたが、実際は月より小さい衛星サイズだった。

・軌道の形が他の惑星と大きく異なる。

冥王星より大きな小惑星がたくさんみっかった。

 

「KAGAYA 星空の世界展」を観てきました。

背景写真は「銀河の果ての南極光(サザンライツ)」 ニュージーランド・南島

※「月刊 星ナビ」誌に毎月連載されているKAGAYAさんの写真展が近くの町で開催

されたので観にいきました。

日本と世界中じゅうで撮影された46点のすばらしい星景写真はしばし現実を忘れるような空間でした。

観覧の人たちは自分の気に入った写真の前でしばらくたたずむ姿がみられました。

写真の間に宇宙や撮影機器や写し方の解説パネルもありただの写真展ではない

KAGAYAさんの世界観がうかがえました。

以下に作品リストをのせます。

※皆さんの近くで開催されたら、是非観てください。