2023年7月6日、MPC(米国、小惑星センター)の「NEO(地球接近天体)確認ページ」に新発見された天体「A10VOwR」の情報が掲載されました。
明るさ、位置共に私のシステムで撮影できそうな為、早速撮影(下の写真)し観測位置データをMPCに報告しようとした矢先、この天体が既知の新彗星であったと確認ページが変更されていました。
この彗星こそ今回取り上げた「紫金山-アトラス彗星」でした。
※この彗星は2022年12月中国の「しきんざん天文台」と南アフリカの「ATLAS望遠鏡」
がすでに発見していました。当初は軌道の離心率eが1以下で楕円軌道と思はれていましたが、観測データが増えてeが1以上の放物線軌道で、おそらく今回初めて太陽に近づく大きな核を持つ大彗星になるのでは、と考えられています。
来年の秋、―1等級で都会でも肉眼で見れるほどの大彗星になるかもしれません。
そのような大彗星が日本で見られれば1997年春の「ヘール.ボッブ彗星」以来です。
※このような大彗星はどこからくるのでしょう?
今までの観測からわかったのは、このような大きな彗星は太陽から1光年以上も離れた所にある「オールトの雲」と呼ばれる小天体が多く集まる球状の部分から来たものと考えられています。
ただ初めての太陽接近のため光度の予測がむつかしく、過去にも1989年のオースチン彗星の様に最大ー2.5等といわれたものが実際は4.5等までしか明るくならなかったこともあります。時々上記の光度観測グラフを確認したいものです。
※太陽のような恒星の大部分は二重星です。そこで太陽とペアのもう一つの星は光で見えない褐色矮星がこのオールトの雲の中にあり、その星の影響で時々大彗星が太陽に向かってくるという説もあります。
※紫金山-アトラス彗星どの様なコースをたどるのでしょう?
※2024年の秋、どのように見えるのでしょう?
※日本で見えた最後の明るい彗星。光度は0等だった。
紫金山-アトラス彗星は更に明るいー1等予報なので、これより素晴らしい彗星が見られればと期待してしまいます。