※おおぐま座の北斗七星の「ひしゃく」の柄の近くにあるM101銀河に超新星が現れました。
2023年5月19日に山形県の板垣さんが単独で発見しました。
SN2023ixfと命名されました。
M101銀河は地球から2100万光年と銀河としては近く、超新星も明るいため、重力波やニュートリノなども観測できるのではと注目されています。
※春の夜空は天の川が見えなく寂しいですが、その分遠くの天体が見通せる季節でもあります。アマチュアの小型望遠鏡でも数億光年先まで見通せます。今回のブログは我々の「天の川銀河」のとなりの銀河を見てみます。
写真の「しし座」には上の写真の丸印の所にお隣の「М66銀河群」と「М96銀河群」があります。
※「М66銀河群」を望遠鏡で見るとうっすらと3個の銀河が見られます。光害地でも「光害カットフイルター」を通すとこの様に見えます。
白黒CMOSカメラに近赤外フィルターを付けると光害地でも銀河が良く写ります。
※私たちの「天の川銀河」は「М66銀河群」や「M96銀河群」と同じ様に「局所銀河群」というグループに所属していて、他にアンドロメダ銀河やM33銀河など約40個の銀河の内の一つです。
写真で見ると銀河はバラバラに存在しているように見えますが、実は重力で結びついてグループを形成しています。その証拠は下の電波で見ると良くわかります。
※波長21cmの電波で観測するとグループの銀河間が低温の水素ガス(HIガス)で結びついているのがわかる。互いに影響し合って銀河の形を変化させている。
※上の写真は私が住んでいる愛知県豊川市の市の中心部にある二つのプラネタリウムドームです。手前のドーム径が15mで500m程はなれたところに更に大きなドームがあります。こんなにプラネタリウムに恵まれたところは他にあるでしょうか?
実は、奥のドームはコニカミノルタのプラネタリウム工場(一般非公開)で、手前が今回紹介する市の「豊川市ジオスペース館」プラネタリウムです。
豊川市立「豊川市ジオスペース館」は今年の4月リニューアルOPENしました。
リニューアルの最大の目玉はプラネタリウムの更新です。
今までのデジタル式から光学式に戻しました。「コスモリープ∑」という光学式のものです。補助投影機はデジタル式の「メディアグローブ∑ SE」でともにコニカミノルタ製の最新式のものです。光学式とデジタル式の融合した形です。
※恒星球の直径は600mmほどで、超高輝度LEDを使い恒星の明るさは今までの2.5倍だそうです。恒星数は6.5等までの約9000個、天の川は25万個の星で再現されているそうです。
私は今までのデジタル式よりかなり本者の星空に近づいた感じがして違和感がなく美しく感じました。
天文ガイドの5月号にも富山市科学博物館が同じくデジタル式から光学式(五藤光学製)に変更した記事が載っていました。今時の流れなのでしょうか。
尚、「豊川市ジオスペース館」ではプラネタリウム投影の後半、星空の下に輝くオーロラの実写投影があり素晴らしいものです。豊川には以前「名古屋大学太陽地球環境研究所」があったためです。この投影はずっと続いているのでこちらにお越しのおりには是非ご覧ください。
※今回のブログは、星が誕生しているところを直接見ることが出来る珍しい天体
場所は先回の「いっかくじゅう座S星付近」のすぐ南側(上の星図を参照願います)で
地球からのキョリは2500光年で先回の「いっかくじゅう座S星付近」と同じくらいです。同じグループの天体と思われます。明るさは9等星です。
※上の写真の扇を広げたような天体が「ハッブルの変光星雲」で望遠鏡でこのように見えます。小さな彗星のようにみえます。また近くのオリオン座のM78星雲の近くにも似たような姿の「マクネイル星雲」がありましたが後ほど説明します。
CMOSカメラで写したのが下の写真です。
※1783年に天王星を発見したウイリアム・ハーシェルが発見しました。
名前は米国のパロマ天文台の5mヘール望遠鏡で、天文学者エドゥイン・ハッブル(宇宙の膨張を発見した人)がファースト・ライトでこの天体を写したことから名付けられました。
日ごとに星雲の明るさや形が変わる奇妙なガス星雲から「変光星雲」と名付けられました。その原因は扇の付け根にある脈動変光星が星雲を照らしているためです。その脈動変光星こそ星が誕生している現場なのです。
その姿の13年間の変化の写真が「天文ガイド」誌2008年6月号P.101に出ています。
またその構造が長野県野辺山の45m電波望遠鏡で調べられたのが下の図です。
※中心の原始星の質量が太陽くらいと仮定すると、太陽のような星になるまでまだ
7500万年ほどかかる段階です。
マクネイル星雲の話
※ハッブルの変光星雲に似た形の星雲がオリオン座のM78星雲の近くにありました。
(最初の星図参照ください)
2004年1月米国のアマチュア天文家J.W.マクネイルさん(当時10代)が口径
7.6cmの望遠鏡を使い写真から下の写真の新星雲を発見しました。
※ハッブルの変光星雲との大きな違いは2006年にはその姿が消えてしまっていたことでした。その後の研究でこの星雲は、星雲を照らしていた若い星がアウトバースト(突発的な増光)を起こしたため一時的に見えていたことがわかりました。
またいつか見える日がくると良いですが。
詳しくはAstroArts 天文ニュース2004年7月29日を参照願います。
この二つの星雲に共通したことは、共に暗黒星雲か生まれつつある原始星であることです。
この様な天体はほかにも
・おうし座 NGC1555
・南のかんむり座 NGC6729
等があります。
※オリオン座の東となりにいっかくじゅう座があります。その北よりのS星付近に
NGC2264という大きな「星形成領域」という今星が次々と誕生している領域があります。
同じ様な領域に「オリオン大星雲」がありますが、こちらは光が弱いため有名ではありません。
地球からのキョリは、オリオン大星雲の1300光年に対し、S星付近は2400光年と
倍近く遠いのにその大きさは上の星図のとおりかなり大きくその巨大さがわかります。
※この天体は次の2点が特徴です。
1つは3種類の星雲が見られます。
・反射星雲―S星の西側の青白い星雲で、S星の光を反射している。(下の写真 ―1)
・暗黒星雲―円筒状のコーン星雲として見られる。(下の写真―2)
・輝線星雲―コーン星雲の周りの赤い星雲でオリオン大星雲と同じ光。(下の写真― 2)
2枚ともカラーCMOSカメラで撮りました。光害地でも光害カットフイルターとCMOSカメラで驚くほど星雲が写ります。
もう1つの特徴は、まだ生まれたばかりの若い星たちの集団でありこと。(下の図―1参照)
※ほとんどの星がまだ主系列に達していない若い星の集団がわかる。+マークの「T型星」は生まれてまだ10~1000万年の赤ちゃん星で、赤外線で明るく見えることから塵(チリ)に包まれた星と考えられています。